近所付き合い

高校を卒業して、親元を出てしばらくしたら親が建売住宅を買い引っ越した。
 なので、今母親と暮らしているこの家の近所の人達とは2年前この実家に戻って以来の付き合いだから、とても浅い。そのせいだけではないだろうが、近所のヒトは俺を胡散臭そうな目で見る、しかも狭い敷地に建っている小さな家々なので、自分の家を守る形の家がせいぜいで、細い私道に対しては小さい窓があるだけで、昔と違って戸が開くこともなく、中が窺い知れない。

 別に中を見たい訳ではないが、近所の人と顔をあわせるのはたまたま玄関の戸を開けたときがいっちするときだけであり、下手をすると何ヶ月も顔を会わせない隣人もいる。以前、一人の時はアパートに住んでいて、しかもぼろアパート、結構付き合いもあって、別に助け合いなどはないけど、気が楽だった。
 あーこれは下流の最下層の生活レベルが同じで気が楽だったのかなー。この辺の建売住宅群も庶民風だけど、ものを持つから発生する守りの姿勢をとってしまうのか。

 去年の12月の栃木の子供の殺人事件の時、下校の途中子供達に気をつけて帰るように声をかけていた初老の男性が不審者情報として伝わり県警に顔写真の提出を求められたという。
この家の前を通る小学生の子供達、意識的に出来るだけ見ないように目をそむけてすれ違うのが最近の俺だ。

 地域の付き合いが必要とよく言うけど、付き合いたいという気はあまりしない。
隣近所と限らず子供を通してとか、趣味を通してとかほかにもあると思うが、住んだ年月も少ないしとりあえずなにもない俺はひたすら静かに暮らすのみだ。当面はだ。