闇の子供たち 持続可能

dankai-2005nen2010-03-02

朝日新聞内田樹教授がゼミの女子学生の面接で「現代日本の20歳の女性達の喫緊の関心事は一つは窮乏であり、もう一つは東アジアである」と実感したと書いてあった。 
例年の面談では学生達はブランドやファッションや美食、消費に関する研究テーマを上げていたが、去年はほとんどなかったという。

女性誌が牽引した高級ブランド神話も揺らいでいる、「ブランドは上を目指せる社会構造を信じられることが前提、身の丈に合わないものに虚構を感じている」という。

今の若い人はメディアに取り上げられるものほど、商業主義の匂いを感じるという。又、聞きやすい音楽、読みやすい本、パターン化したドラマ(ファミレス現象という)を一部の人達は刹那的に受け入れるが、一方知的欲求を持つ人たちは幻滅しているという。口コミさえ作為的なものをまず感じる。彼らの世代はまじめであるという。

「東アジア」というのは具体的にはストリートチルドレンや麻薬、人身売買、戦争被害などのことで「人権擁護のインフラが整備されていない社会で人はどう尊厳ある生を生きることが出来るか?」という問いに換言できるという。

先日NGO「アジア女性会議」のチラシで映画「闇の子供たち」のことを知り、ビデオ店に借りに行ったのだが、08年公開のちょい前の映画であるにも関わらず貸し出し中の空ケースがいくつも棚に並んでいた。それだけ多くの人が観ているということだ。
持続可能な社会を目指して」とよくいうけど本当に持続可能を求めるなら、今の文明を全否定して、せいぜい手作業の農だけにもどるしかないのではないか。「エコ」という言葉を乱発しながら車に乗ったり、電気を使っているのも「ごまかし」である。今の文明を全否定できないのが現実であれば、それを認めた上で「じゃあ、どうする」と発想すべきで、持続可能というのには程遠く、農、猟だけにはもうもどりたくないという自分達の現実を忘れてはならない。いつもそれを前提に発想すべきだ。
別に自虐的になりたい訳ではなく、その視点をはずすとファミレス現象を超えることは出来ない。
闇の子供たち
08年公開の映画で江口洋介宮崎あおい妻夫木聡らが出演。タイの人身・臓器売買や児童買春を告発し、背後の組織と闘うジャーナリストやボランティアを描くフィクション。原作は梁石日。大手の映画ではなく、単館系でありながら公開館数を130まで延ばす大ヒットになった。